飾り原稿用紙の誕生秘話

飾り原稿用紙は、もの書きである「小日向京」さんと、じゃばら伝道師の「horirium」さんと、あたぼうのコラボレーション製品です。飾り原稿用紙ができるまでのお話しを読んでいただければ幸いです。

小日向氏とあたぼう佐川の出会い

最初のきっかけは、あたぼうの製品である「スライド手帳 HIRATAINDER」と小日向さんの出会いから始まります。小日向さんは当社製品のHIRATAINDERを気に入って下さり、ネットで注文されました。当方は全く初めは気づきませんでしたがw


その後、小日向氏は雑誌などでHIRATAINDERを使っている姿などを写真で見せてくださいます。その際、原稿用紙に穴を空け、HIRATAINDERに挟んでいました。もちろん、小日向氏仕様のオリジナルでした。

horirium氏と小日向氏の出会い

horirium氏と小日向氏は、あるユーザー会で出会います。いろいろ話をされたようですが、その後、horirium氏のブログにある「飾り罫の原稿用紙」を小日向氏が発見し、気に入ります。ここから原稿用紙の話が始まります。


その後、原稿用紙の飾りは、小日向氏の助言を取り入れながら、horirium氏が修正し、デザインが洗練されていきました。


ここで、原稿用紙企画が融合

原稿用紙企画が話し合われた場所の写真
原稿用紙企画が話し合われた場所

私あたぼうの佐川が勝手に音頭を取って、小日向さんとhoririumさんを上野に呼び出してw、三人で話し合いました。その前から、実際にはネット上-TwitterのDMやメール-でいろいろな話をして、前打ち合わせをしておりました。

 

小日向さんは、「」とデザインにこだわりを持っておられました。

そのこだわりなどは、次の通りでした。

紙へのこだわり

 小日向さんがオリジナルで作っていた原稿用紙の紙をお預かりして、事前にどのような紙なのかを印刷屋さんや紙問屋さんに持ち込んで、ヒアリングをしておきました。

 

紙は、上質紙の一種だということがわかりましたが、その薄さには重要な意味が含まれていました。それは、「万年筆で書いた時に、インクを吸って、少しよれる」ことでした。


通常、万年筆を使う人たちは「裏抜け」を気にします。が、原稿用紙は「裏を使う」ことは通常ありません。だから、インクを吸って少しその部分がしわっとなる、あの感覚が大切なのだそうです。確かに、使っているか、使っていないかがあのしわで感じられるのは、おもしろいところです。


紙は結局、「しらおい」か「キンマリSW」が最後に残って、「キンマリスノーホワイト」の斤量45を選択しました。

デザインと色へのこだわり

一般的な原稿用紙は無機質なものがほとんどです。それは書く内容に集中できるよう、配慮しているためかもしれません。

 

しかし、そればかりでは、少しつまらない。

 

少し楽しい雰囲気の罫線で囲まれた原稿用紙があってもいいのでは?という思いからデザインしてもらいました。

 

共通するテーマはレ トロ調です。


そして、二点目は、文字数がカウントしやすくなる目安をつけること。でも、デザイン上も不自然に見えないこと。写真をよく見てもらうとわかりますが、5文字、5行毎に目印が付いているのです。

 

さらに、色へのこだわり。

 

色には、少し不思議な名前をつけてあります。

の4色です。いずれも小日向さんの命名です。デザインと色を混ぜた名前にしてあるのです。

テストマーケティングというか、ちょっと見せてみた

ISOT 2014への参考出品

完成したデザインへのユーザーの反応を見るため、ISOT 2014に参考出品しました。

急遽、参考出品することに決めたため、紙はキンマリSWが入手できませんでした。


あたぼう所有のインクジェットプリンタで、一般のコピー用紙に印刷して出品しました。

いくつかの嬉しい反応がいただけました。

  • 発売はいつか?
  • 裏抜けを前提にしているところが潔い
  • 確かに「しわっ」となるのは楽しい
  • デザインがかわいらしい
  • どの色を買うか迷いそうだ

といったものです。


ありがたいことに、文具コンサルタントである「土橋正」さんのISOT 2014レポートにも取り上げていただきました。

小日向ファンに受けることは、間違いない!

万年筆の写真
イメージであり、原稿用紙とは関係ありませんw

時系列は少しずれますが、一方、小日向京さんはテストマーケティング(?)を展開してくださいました。結果、企画者の一人である「小日向京」さんのファンには、この飾り原稿用紙、受けることは間違いないと信じました。


小日向さんがお出ましになったあるイベントで、小規模ながら、この飾り原稿用紙を披露してくださいました。そこでは、とても好反応があったとのことで、当方としても嬉しく思いました。また、それなら、少し量を印刷してもいけるのではないかという、リスクは少ないのではないかという感じを持ちました。

製造の停滞とパッケージの悩み

製造の停滞は、ひとえにあたぼうのせい

紙も決まり、デザインも決まり、印刷の色も決まりましたが、製造は停滞しました。

これはひとえにあたぼうが怠慢だったせいです。実際には、いろいろな理由があるのですが、言い訳にしかならないので、ここでは控えさせてください。


ただひとつ言えることは、かなりの生産量でないと「コストが合わない」ということがわかったのは、困った点でした。経営としてリスクが高いと考えられたのです。

パッケージをどうするかの悩み

フタ側にシールがある一般的なOPP袋の写真
フタ側シールの一般的なOPP袋

コストだけが悩みの種ではありませんでした。もうひとつの大きなハードルはパッケージです。いくつかの悩みがありました(今でも悩んでます)。

  1. 紙はA4で作るが、パッケージをA5に折って出すかどうか
  2. パッケージはOPP袋に入れるか否か
  3. 入れるとしたら、写真のようなフタ側シールはいやだ
  4. パッケージにはどんなラベルを入れるか
  5. それともOPP袋に印刷してしまうか
  6. アソートを作るか

主なものを挙げただけでもこれだけありました。特に、OPP袋に入れる場合は、フタ側にシールがあると中の紙がくっついてしまう可能性があります。印刷がはがれる原因になるので、避けたいところ。

 

ネットで探しても、なかなか本体側にシールがあるものは見つからないので、ここは諦めました。独自に作ると全くコスト的にあわないことがわかったからです。

パッケージ探しの旅

その後、パッケージを探す旅に出ます。旅というのは大げさですが、いろいろな人に話を聞き、どのようなパッケージがあるのかを調べ、いろいろな選択肢を用意しました。

 

最初の選択肢は、やはり「OPP袋」です。

 

株式会社NEXT switchの寺西さんの紹介で、本体側にシールがあるものをなんとか探し当てました。しかし、見積を取ったところ、残念ですがコストバランスが悪く、とても採用できないことがわかりました。


次の選択肢は、シート状のPP、またはPETで入れ物を作ることです。こちらのPPまたはPETの提供業者は目処がこの時点で付いていました。しかし、この場合も表面に印刷するか、中に紙を入れるかはコストとの選択となります。


結局、コストはいずれでも合わず、一般のOPP袋を使うことにしました。

印刷会社に原稿用紙の見積を取り直す

見積書の表題部分の写真
見積書の表題部分(中は見せられませんw)

テストマーケティングによって、小日向さんに勇気をもらったので、印刷会社さんに見積を取り直してみました。色の指定などをあらためて対面で行いました。

 

印刷の色の指定というのは、DICという番号を指定します。が、印刷してみるとちょっと違うなぁということも良くある話です。しかし、オフセット印刷機を回すと多大なコストがかかるので、数種類オンデマンドで印刷してもらい、そこから一番色が近いものを選びました。

 

実際の印刷時は、そのオンデマンドに合わせてもらうことにしました。

 

さあ、見積の中身はというと、目標原価には届きません。つまり、高いということです。いくらなら売れるのかという価格設定はなかなか難しいものですが、感覚的にこの値段ならという金額設定をしているので、それ以下になるような原価が必要です。

 

二回見積を取り直して、やっと決まって、残すはパッケージを含めた製造企画と実際のコストになりました。

ここまででなんと、ぼやぼやしていたので半年以上かかっちゃいました。


パッケージ用ラベルで、小日向さんに苦労をかける

パッケージを作る際、


せっかくなので小日向さんに題字を書いていただきたい!


などという突拍子もないことを思いついてしまい、身勝手にもほどがある訳ですが、お願いしてしまいました。快諾してくださった小日向さんには本当にありがたく、頭が上がりません。


できあがった文字の一部が左のものです。味のある良い字です。ありがたい。


これを基にしてパッケージもデザインし、なんとかパッケージまでできあがりました。

実はパッケージ作りだけで2ヶ月以上かかっておりますm(_ _)m

いよいよ、印刷、そして刷り出し

飾り原稿用紙のフライヤー(チラシ)
飾り原稿用紙のフライヤー(チラシ)

なんとか、パッケージが収まって、この後は印刷でした。

色を合わせてもらい、工場へ発注しましたが、なんと、ゴールデンウィークにぶつかってしまいました!

タイミングが悪いなぁ。


と言っても仕方ないので、お願いして待つことになりました。


発注から2週間後、ようやく刷り出しを確認するまでに至りました。ようやく到達しました。


そして並行して、営業用のフライヤー(チラシ)を作り、印刷しました。なかなか格好良いのができたと思うのですが、いかがですかね。

地獄の納品されました笑

そして、なんとか、印刷屋さんにお願いして、作ってもらいました。

しかし、驚いたのはその重さ。具体的な数値は言えませんが、思った以上に重かったです。


結果、納品に来ていただいたのですが、その重さがあまりに重く、搬入に時間がかかると共に、ほぼ「スクワット」状態になりました。翌日の筋肉痛は確実のものと思われました。


写真はその時のもので、搬入した後、一部だけを撮影したものです。

さあ、この後は袋詰めをしてまずは小売店様への発送です。

袋詰めでラッキーなことが!

上の方で課題となっていたOPP袋のシール問題ですが、なんと解決しました!

OPP袋をあらためて、「開閉可能」なもので探しました。こちらも比較的少ないのですが、なんとか見つけて発注。

納品された来たのは!なんと、開閉可能な上に、本体側にシールが付いているOPP袋でした。


諦めていたので、小躍りして喜びました。これでみなさんに安心して使っていただけるなぁと。

発売前から継続的情報提供

FacebookページやTwitter利用

あたぼうステーショナリーFacebookページ


Twitter(atabo_coltd)の今

発売前にFacebookページを新たに立ち上げて、細かな情報提供をはじめました。たくさんの方にいいね!を押していただけるようがんばりました。


さらに、Twitterの方でも積極的にツイートして情報提供を続けました。


たくさんの方々に、リツイートしていただいたり、監修の小日向さんにいろいろTwitterで書いてもらったりもして、多くの方に情報が届けられたのではないかと思います。


この場を借りてお礼申し上げます。


今後も、ペースは落ちるかもしれませんが、継続的に情報提供などしていきたいと思います。


いよいよ発売

2015年5月18日から、


スライド手帳ネットショップ

当サイト

Amazon


にて一斉に予約販売を開始しました。


事前の情報提供が良かったのか、予約販売で二桁のご注文を頂戴しました。おかげさまで寝不足になりました笑


そして、5月20日から一斉に初出荷します。


2015年5月20日時点での開発秘話はこれで終わりです。また、追加で何か起こったら、追記します。